‘Signé Chanel’

邦題は『サイン・シャネル』。これはすごくおもしろかった。
2005年に放送されたフランスのテレビシリーズだと思う。1回26分で全5回。オートクチュール・コレクションに向けての怒濤の時間が、カールよりもアトリエで働くスタッフをメインに描かれています。

とにかく何でも手作業で、何度も作り直しをし、直前に舞い込んだ追加デザインも形にしなくちゃならない。しかもカール・ラガーフェルドの作品を、ね。超一流の職人たちが常にベストを尽くしても時間はギリギリ。そんな中、アトリエで服を縫うおばちゃん、じゃなくてマダム、しかもカールの信頼を得ている敏腕マダムたちがぶーぶーぶーぶー文句を言いながら、作品を作り上げるわけです。カールの知らないところで交わされる会話のユーモアが素晴らしい。ボンボンに目がない茶目っ気もかわいい。そして何だかんだ言っても、カールとシャネルと服作りの仕事を愛してる。

ガロンって、シャネルではあそこのことを指すのねというところからスタートするレベルの私だけど、作りはこの人だけと言われているおばあちゃん、マダム・プージューの仕事ぶりは感激の一言。シャネルのスタッフが来て勉強しようとしたけどダメだった。それでも「私の代わりはいる」と言った。あと「限界は自分で決めない」とも。深いな。75歳で1日2時間睡眠で13日間も働けないよ。たぶんね。靴職人のマサロおじいちゃんも同様に。あんなにたくさんの人の思いがこもった服を着られるなんて幸せだよな。注文に来たアメリカ人女性は、そんなこと考えてもいなそうだったけどね。

映像の画質は悪い。だけど、ストーリーを伝えるのにハイクオリティも3Dも必要ないとやっぱり思えた。たまに変なインサート画像が入ってるんだけど、それも凌駕できてる。なによりも、作り手の対象への興味や愛情を感じることができた。フランスのドキュメンタリーってそんな感じなのかな。ビジュアルは洗練されてるのに人間くさいの。それでも日本の教育番組みたいにならないのも素敵。ただし、オリジナルにない台詞やテロップを日本語字幕で後からつけるのはおせっかいな感じがした。そこを観る側が自分で考える必要があると思うから。日本映画オタクの非日本人が「行間を読めよ」とよく言うんだけど、最近は日本人の方がそれができなくなってます。便利を追求しすぎて、考えなくなったんだろうね。

他に素晴らしかったのは、お針子さんたちの間で常識の迷信が出てくるところ。あんなにあるんだ。私の分野では、そうだな、全然思い浮かばない。はさみを落とすと…なんてすごく驚いた。そして、それを効果的に使ってた。

そうそう。音楽の使い方が非常にうまいです。ほとんどがクラッシックとフレンチポップスなんだけど、みんながうまくいっていない時には、名曲(タイトル忘れた)をわざと調子外れにしたりね。あと、キメのファッションショーのシーンで使われている曲。かっこよすぎる曲だわ!と感じた方はいませんか?あれはTV on the Radioの’Staring at the Sun’という曲。私はイントロが聴こえた瞬間に鳥肌が立った。完璧に真っ白なシャネルのショーがいよいよ始まる。モデル、カール、スタッフ、臨時雇いのイケメンたちの顔がこわばっている場面とぴったりだった。ショーに使ったのかはわからない。でもすごい。私はファッションショーには仕事で行かない方がいいね。Phoenixの’If I ever feel better’を知ったのもファッションショーだったから。動画だったから後で特定させられたけど、他だとそればっかり考えて仕事にならなそう。


TV on the Radio ‘Staring at the Sun’

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